押しかけ評論 「新幹線、台湾へ」

Vol.1 <新幹線、台湾へ>

 1月22日付の日経新聞(朝刊)に「台湾新幹線、日本連合が(軌道工事)受注圧勝」というの記事が掲載されました。この中に「北京−上海間の高速鉄道にも日本の新幹線が採用される可能性が十分にある」とありますが、とんでもない!話です。中国への売り込みには絶対反対です。

 新幹線の安全神話の裏にある、ドクターイエロー(ボディがベージュがかった黄色の点検専用車両で、10日に1度、営業車両と同条件で走行しています)による軌道の点検、深夜の線路保守、飛行機並みの車両点検の重要性を無視しているとしか言いようがありません。中国でそこまでのメンテナンスができるとはとても思えません。

 墜落事故が多発する中華航空がNational Flag Carrierである台湾で、日本の
新幹線が安全に運行できるかどうかもわからないと思っています。鉄道も含めて台湾のインフラのほとんどは帝国海軍主導の総督府(ちなみに朝鮮総督府帝国陸軍主導)が整備したもので、メンテナンスの重要性は引き継がれているはずですが、こうも中華航空機が堕ちるとそれも怪しいものです。
 台湾の鉄道は結構正確・安全に運行されている印象を受けますが、新幹線のメンテナンスに必要なマンパワーは在来線とは比較になりません。

 新幹線を中国に売り込むことが成功、数年を経て運行を開始したと仮定して、もし事故が起きた場合には、たとえ中華人民共和国鉄道部がメンテナンスを軽視・無視していたとしても日本企業連合に法外な損害賠償要求をしてくることは目に見えています。なにせ相手は中国です。

 日本の新幹線は、安全運行のための維持・管理の重要性を認識し、そこにお金と人材を投入する意思が確認できる相手でなければ売れない「危険な戦略商品」と考えます。