押しかけ評論 「次はアメリカン航空?」

Vol.4 <次はアメリカン航空? 「格付け」と「Chapter 11」>

 日本時間で3月1日朝に、S&PがAMRと傘下のアメリカン航空(AA)の長期債格付けを3段階引き下げて「B−」(シングル・ビー・マイナス)にしたとのニュースが流れました。これでは労使関係や対イラク戦に関係なく市場での資金調達ができなくなり、US Airways、ユナイテッド航空(UA)に続いてChapter 11となってしまうのではないでしょか?
 もともと航空各社の業績が低迷していたところに、9・11でだめを押された格好ですが、今回のアメリカンの格下げは止めの一撃になると思われます。利用者にとっては直接的な影響は薄いと思われますが、今回の格下げはわざわざ自国の航空業界を叩きのめしているような気がしてなりません。顧客重視の姿勢では日本の航空会社より遥かに進んでいるだけに、残念でなりません。

 反面、冷静に考えると「格下げ」が産業の再生に寄与するという考え方もできると思います。SafewayやUAがChapter 11を申請する以前に格下げはされなかったと記憶していますが、特に動きが悪くなった超巨大企業にとって、リストラをする良い契機になると考えます。悪い経営の会社は駆逐されるのが市場原理ではありますが、「格下げ」はそのような会社に対する「引導」といえるとおもいます。(ちなみに今回は格付け会社が公正・中立であるという前提で考えています。)

 日本でも民事再生法により、営業を継続しながら再建をするということが容易になりました。これを活用してほしいものです、といいたいところですが、残念ながら日本では失敗した経営者が再度挑戦できる環境がまだまだありません。失敗した経営者はその会社から退き、事業意欲があればまた新たにやり直す、というだけのことですが、日本ではまだまだそれを受け入れる素地は出来上がっていないといわざるをえません。。

 最後に事業会社で債券投資をしている者の立場から「格付け」を考えると、客観的な第三者によって発行会社の信用リスクをレーティングしたものであり、社内規定(一例:AA/ダブル・エー以上の債券で運用をすること)に従って債券運用をしていれば、もしその債券が紙くずになっても不可抗力として無罪放免される免罪符のようなもの、と言えなくもありません。(本当に無罪放免となったら、それはそれで大問題だと思いますが)

 ※ Chapter 11 : 米国連邦破産法第11条の適用申請です。Chapter 11は、日本の従来の破産法や会社更生法とは異なり、申請した企業が再建を行っている間、事業を通常どおり継続することを可能とするために広く用いられる米国の法律です。昨年12月9日にChapter 11を申請したユナイテッド航空は何くわぬ顔をして普通に飛んでいます。日本の民事再生法(2000年4月施行)はこれを輸入したもの(弁護士の諸先生、間違っていたら指摘してください!)で、ハウステンボスはご存知の通り営業を続けています。(余談ですが、これからハウステンボスはチューリップがきれいな季節です。ハウステンボスには世界初の海上空港である長崎空港から船で直接アクセスでき、ツアーもたくさん出ています。私は暑い盛りに行きましたが、十分気分転換できました。
次回は是非、チューリップの季節に・・・と思っています。)