何のためのイラク戦争なのか

押しかけ評論 Vol.13 <何のためのイラク戦争なのか>


 イラク戦争だったのか、と書こうと思いましたが、いまだに戦死者が出ている状況では未だに戦闘中としか言いようがありません。

 勝利宣言前より後の方が死者が多いという、不思議な戦争・戦後統治が行われていますが、いよいよ開戦理由の説明が苦しくなってきました。素人考えでは、誰かに責任を押し付けるか、うやむやにするかの二択と思えますが、まさか国防長官をトカゲのシッポ切りする訳には行かないでしょうから、「うやむや」作戦に向かうのでしょうか?
 最近出てきたCIAエージェント身元漏洩事件などは世間の目を本質からそらすための「目くらまし」の一つのように思えてなりません。

 「会議室」が苦しければ、「現場」はもっと苦しい・・・。イラク国内での治安維持がままならない状態で、通常なら海兵隊は「攻め」終われば、後を陸軍に任せて、一旦は駐屯地に戻るはずなのに、今回のようにイラク周辺国の前線基地に留まっているのは「異常事態」だと知人の元海兵隊員から聞きました。親子二代の海兵で、現役の海兵である息子が本来の駐屯地であるサンディエゴに戻らずクェートで足止めを食っているそうで、海兵ならだれでも「かなりまずい」状況であることが分かり、退役軍人会あたりが「早く兵士を本土に戻せ」という声が上がってもおかしくない局面にあるようです。ちなみにクェートにいる息子さんは、サンディエゴに戻った後はオキナワへ異動という「内示」を6月に受けたままだそうです。

 米国が戦後統治を本格的に行ったのは半世紀以上前の日本のケースだけで、日本側の軍・行政組織が生きていたことが大きいですが、これは成功したと言ってよいでしょう。
 しかし第二次大戦後、米国が本格介入した朝鮮、ベトナムレバノングレナダボスニアパナマ、クェート、ソマリアコソボ(少々順番が怪しいです)ではどこでも行ったことはありません。アフガニスタンでは幸い多国籍による対応がされていますが、イラクではどうなることやら。アメリカが意識して動かなければ、アメリカ嫌いが増えるだけの結果になることを理解するのはそんなに難しいのでしょうか?