さすが、シンガポール!−星のSARS対策−

押しかけ評論 Vol.7 <さすが、シンガポール!−星のSARS対策−>

 23日にロイター電のニュースをご覧になった方もおいでかと思いますが、「シンガポールSARSの疑いのある隔離患者の違反外出は収監」というのはいかにもシンガポールらしいやり方だと感心しました。
 淡路島ほどの面積に300万人が密集して住んでおり、出生率の低下に悩んでいる現状もあり、感染が広がれば国家存亡の危機というところまで考えた結果だと推測します。このようなニュースに接すると香港で行われたアパート封鎖で、本当に感染被疑者が自宅待機していたのか疑いたくなります。

 ゴー・チョクトン首相の国民に対する公開書簡の原文を見ましたが、「『SARS感染被疑者が自宅待機隔離措置に従わない場合には裁判を経ずに罰金を科し、常習犯については刑務所に収監する』という伝染病対策法の修正案を明日の議会で通過させる」とのこと。
 裁判を経ずに・・・というのは、普通は「戒厳令」下でなければできないことで、警察国家シンガポールの面目躍如といって良いでしょう。
 何せシンガポールは、国会勢力図が与党:80議席、野党:3議席(小生が駐在していた97年の総選挙時)、死刑執行件数が年間40〜50件というところですから。人口:300万人ですから、例えて言えば名古屋市が10日毎に死刑執行をしているようなものです。
 都市開発、経済発展、社会福祉がうまくかみ合って成長してきた国ですから、それはそれで評価に値する国だとは思いますが。。。

 さてSARSですがウイルス性疾患のようですので、機密服でも着用しない限り感染を完全に防ぐことはできないはずです。
中央アフリカエボラ出血熱(これもウイルス疾患)が散発的に流行を繰り返している状況から考えると、SARSも一旦は収束するものの、今年の冬に再び流行するのではないでしょうか?
 その時には、感染地域に対してCDC(仏・預金供託公庫、ではなくて米・疾病対策予防センターです)が実力介入する必要があると思います。