遂に日本でも鳥インフルエンザ

押しかけ評論 Vol.17 <遂に日本でも鳥インフルエンザ

 ベトナムやタイで「鳥インフルエンザ」対策としてアヒルやニワトリを焼殺処分しているというニュースが散見される中で、山口に続いて「大分のチャボに鳥インフルエンザ発生確認」というニュースが流れました。幸いまだ人には感染していないようです。
 通常の(弱毒型)インフルエンザやSARSが気管支炎や肺炎といった呼吸器感染に留まるのに対し、強毒型である鳥インフルエンザ(A/H5N1)は多臓器不全をもたらし、「家禽ペスト」という呼び名もある怪物です。

 人と鳥に豚が加わって一緒に生活している環境であれば、あっという間に豚の体内で鳥インフルエンザが突然変異を起こし、人にも感染・発症するようになります。また鳥インフルエンザの場合は、人(旅行者)だけでなく鳥(渡り鳥)もスプレッダーになり得る病気のため、いつどこで発生してもおかしくありません。

 重篤な度合いで並べると、風邪<インフルエンザ<SARS鳥インフルエンザ、となりますが、これらはすべて全く別物と思ったほうがよい感染症です。
 日本では「スペインかぜ」とか「アジアかぜ」といった呼称がありますが、インフルエンザは風邪(かぜ症候群)とは明確に区別する必要があります。

 WHOでは鳥インフルエンザ(Avian Influenza)に関する詳細な情勢をWebで公表しています。(1日複数回更新されているようで、国際機関としてはかなりの頻度といえます)
 http://www.who.int/csr/disease/avian_influenza/en/

 ところで今シーズン、インフルエンザのワクチン接種はされましたでしょうか。現状では初期段階で新型インフルエンザを区別することは困難なため(潜伏期から発症3,4日間のウイルス検出率は20〜40%)、従来型のインフルエンザを可能な限り封じ込め、類似した症状を発症した場合は万全の構えで対応するしか方法はありません。
 現行のインフルエンザのワクチン接種は既知の弱毒型インフルエンザの感染、発症を「完全には」防ぐことは出来ませんし、風邪にはほぼ効果はありませんが、いろいろな意味でリスク低減できるはずです。